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「葛藤」
作者 緑川貴恵
「葛藤」というタイトルに惹かれ、作者にお話を伺った。
タイムスリップしたバスが登場する「クレヨンしんちゃん」の映画からヒントを得たとのこと。そして、描かれている昭和のバスが、未来に戻るか、その行き先を迷っていることを表現しているという。確かに、タイヤの向きに違和感があるように感じられ、作者の意図が伝わってくる。
過去から現代の社会問題に至る内容をテーマに取り組み、実際に取材したり、写真等の資料を参考に、緑川さんの世界観を絵画として再構築している。 また納得のいくまで重ね塗りをし、長い時間を掛けて完成に至るという。その手法が、「じっくり、おっとり派」だという自身の性格とも合致しているかもしれない。彼女ならではの、描くという行為の時間を感じてみては?